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地方鉄道活性化-水間鉄道の取り組み-

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こんにちは

今日は地方鉄道について取り上げようと思います。そもそも地方鉄道とは新幹線や都市鉄道にあたる路線以外の鉄道です。監督官庁の国土交通省鉄道局では中小民鉄、第3セクターを合わせて地方鉄道事業者としているようです。関西では都市鉄道といえば、JRのほか京阪、阪急、近鉄などの大手鉄道会社を指し、地方鉄道は水間鉄道、北条鉄道、叡山鉄道など比較的小規模の鉄道会社を指します。

さて、こうした地方鉄道はJR、大手民鉄、地下鉄などと違い、人口密集地を通ることは稀で、利用者が少ないことから各地方鉄道で経営難に陥っています。特に近年では自家用車の普及、人口減少などの影響により赤字経営に陥っている事業者が多く、自治体などからの公的補助によって営業を存続させています。

関西の地方鉄道の一覧と、それら2010年度の営業係数を表1に表示しました。営業係数とは営業費用を営業収益(収入)で除したもので、この値が大きいほど経営状況が悪いということが言えます。1を超えると費用>収入という関係になるため、営業赤字です。

 

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表1 近畿地方の地方鉄道一覧と2010年度の営業係数 平成22年度鉄道年報より管理人作成

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これらの鉄道のうち、信楽高原、北条鉄道は第3セクターです。また、嵐電と阪堺については鉄道ではなく軌道(路面電車を含む)という扱いになっています。<※軌道とは鉄道よりも短距離輸送を担い、また駅間距離も短く路面電車や路線バスに近い性質を持つ。>

営業係数を見ると、京都市内を走る嵐電と叡山電鉄を除いては営業係数が1を上回っています。すなわち赤字経営の状態にあるということが言えます。特に紀州鉄道ではこの値が5を上回っており、大幅な赤字となっています。また、こうした赤字分は補助金によって補填され、鉄道事業が存続しており、このことが財政を圧迫する要因にもなりかねません。

しかし海外ではこのような公共交通の赤字というのは一般的であり、むしろ費用を収入でカバーできている日本の都市鉄道の方が例外的なのです。赤字が発生していても利用者の便益が大きければ鉄道などの公共交通を存続させていくというのが一般的な考え方です。

とは言えあまりにも営業赤字が大きすぎるのは問題で、近年、地方鉄道存続すべきか否かという議論が日本各地で起こっています。

それでは地方鉄道活性化の取り組みを水間鉄道の例を用いて見ていきましょう。

<水間鉄道(株)の独自の取り組み>

▽平成21年ピタパICの導入、

▽平成23年から利用者のサービス向上を図るため女性案内者(アテンダント)を配置、

▽駅なかマルシェを月2回(第1・3日曜日)、

▽枕木オーナー募集(414件)

<水間鉄道活性化・再生プロジェクトチームの取り組み>

▽外部からの流入客の拡大に取り組む。

▽地域の方々に支えていただくサポ-ト制度の導入、マイレール、マイバス意識の醸成、水間鉄道に年何回乗っていただいたら廃線にしなくてすむという取り組みをしていく。今年2月大雪降った時、通常の日の2.5倍の方が鉄道利用したことがあった。潜在的には需要があることがわかった。

  ※特定非営利法人 NPO地域デザイン研究会より引用

これを見ると水間鉄道ではいかに需要を呼び起こすかという点に重点を置いているように思えます。日本の地方鉄道の場合、コスト削減に関してはワンマン運転の実施などやれることはやりつくしたというのが現状で、あとは需要をいかに喚起するかということが命運を握っていると言っていいでしょう。地方鉄道の特徴として通学目的の利用割合が多いということがあげられ、今後少子化によって一層厳しい状況に直面することが予測されます。そんな中でいかに鉄道というサービスに付加価値をつけて提供するかということも重要になってくるでしょう。また、地域全体で鉄道を存続させていくという住民の意識が利用客増につながるかもしれません。いずれにしても何らかの取り組みをしなければ、また新たに鉄道廃止路線が生まれるかもしれません。

コメント

  1. […] まずは地方鉄道活性化のためには・・・ でも紹介した営業係数を見てみましょう。営業係数は営業費用/営業収益(収入)で表されます。2010年の鉄道統計年報のデータを見ると営業費用が248.5億円、営業収益(収入)が234.2億円で営業係数が1を若干超え営業赤字となっています。現在はさらに収入増加が期待されるので営業係数は改善されているかもしれません。 […]

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