平成の大合併の失敗例 財政難に陥った兵庫県篠山市


平成の大合併


これまで多くの自治体がこの甘い言葉に魅了され、小規模の自治体を中心に合併をが繰り返されてきました。

この平成の大合併の評価はさまざまなものですが、今回紹介する篠山市は失敗例として取り上げられています。NHKスペシャルにも取り上げられ、悲しいことに「平成の大合併の失敗モデル」として知られることになってしまったのです。


平成の大合併 合併することのメリットとは 

1995年の合併特例法の制定に始まって2005年にピークを迎えた市町村の大合併。政府は合併した自治体への財政援助や権限拡充を行うことによって、これを推し進めました。これによって平成11年にあった3232の自治体は1727まで減少しました。ここまで合併が進んだ背景には何があったのでしょうか。そしてこれを行うメリットはどこにあったのでしょうか。

それは合併特例債の存在でした。合併特例債とは新たにできた市町村の事業費として特例的に起債できる地方債のことです。事業費の95パーセントに充てることができ、さらに元本と利息の返済額のうち、国が70パーセントを負担するものです。財政的に苦しい地方自治体にとっては、喉からてが出るほど利用したい制度だったのです。

さらに、地方交付税の優遇措置も取られました。従来は合併によって自治体の規模が大きくなれば地方交付税は減額されていたのですが、合併後10年間限定で、交付税を減らさないという特別措置が取られることになったのです。

合併特例債と地方交付税の優遇措置は合併特例法によって定められました。

小さな自治体からすれば、合併することによってより効率的な財政運営を行うことができる、国にとって見れば財政再建につながるというバラ色の未来が待っている、そう役人たちは思っていたのでしょう。

ところが、合併して新たに生まれた自治体の半数にあたる308もの市町村が深刻な財政難に苦しんでいるといいます。もちろん、少子高齢化の影響も大きいものと考えられますが、仲には大合併自体したことによって、より深刻な財政難に陥っている自治体もあるのです。

平成の大合併1号 兵庫県篠山市の例

現在の兵庫県篠山市は1999年4月に、篠山町、西紀町、今田町、丹南町が合併してできた市です。4つの町が共同で使用していたゴミ処理場や斎場などのインフラを建て替えるために、新たに制定された特例債制度を用いようとしたのです。
合併後、特例債を発行してごみ処理場や斎場を作ったのですが、それに留まることなく温泉施設、温泉プール、博物館などハコモノととられてもおかしくないような施設を次々と建設しました。

それぞれの施設の概要と、建設額を見てみましょう。

斎場     20億円
ゴミ処理場  80億円 
温泉     15億円
温水プール  15億円
市民センター 25億円
博物館    18億円
図書館    19億円

これらを足し合わせると、192億円になります。合併特例債制度を使用しても、3割は自治体による負担になるので、60億円~70億円の借金を背負うことになったのです。

もちろん必要な公共施設は建設されなければなりません。しかしこれだけの施設を作る必要があったのでしょうか。温泉や温水プールなどのレジャー施設は、そもそも採算が取れる見込みがあれば民間の事業者が手がけることも可能です。

そして時代は超少子高齢化社会。人口減少の波が篠山市を飲み込み、税収が減少していきます。

市に借金返済が重くのしかかり、地方交付税の減額も重なって深刻な財政難に陥ってしまった。徹底した業務の見直しを迫られ、職員の3割削減、給与カット、さまざまな住民サービスの縮小や廃止に追い込まれている。

「第2の夕張市になりかねない」こんな声さえも市の内外から聞こえてきました。


さいごに

政治家、官僚、役人は公僕です。国民、地域住民のために奉仕する人たちで、当の本人たちもその自覚を持っているはずです。しかし失敗したとき、それらの人は責任を一切取りません。いつも国民、地域住民にしわ寄せが来るのです。そのことを考えて、制度設計ならびに税金の使い道について考えてもらいたいものです。



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