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首都圏と京阪神圏の経済規模の差はどれくらいか

人口減少が進む中、首都圏では今もなお人口増加が続いている。出生率が低い首都圏で人口増加が続いている要因は、言うまでもなく地方圏からの人口流入だ。もちろん、その中には京阪神圏からの人口流入も大きな割合を占めている。

かつて日本では大阪と東京という二大都市が車の両輪のように日本の中枢として機能していた。それが新幹線が開通して大阪と東京で日帰りが可能となると、大阪の本社機能の移転、支店の東京一本化などで大阪の経済力は一部東京に吸い上げられることになった。そして一度東京に企業や人口が集中すると、東京はますますビジネスに有利な街となり、一極集中と呼ばれる現象が加速していくことになった。

首都圏と京阪神圏の経済規模

今回は南関東の1都3県(東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県)を首都圏、関西地方のうち大阪府,兵庫県,京都府,奈良県を関西圏と定義して、両都市圏でどれだけ経済規模(人口,総生産など)の差があるのかを比較していくことにする。

GDP
東京都  93兆円
神奈川県 31兆円
埼玉県  21兆円
千葉県  20兆円 
合計   165兆円 
GDP
大阪府  38兆円
兵庫県  20兆円
京都府  10兆円
奈良県  3.5兆円
合計   71.5兆円

まずは首都圏から見ると、東京都が明らかに突出していることが分かる。そのあと人口900万人以上を抱える神奈川県が続く。総生産の合計、約165兆円という世界でも類を見ない巨大都市圏である。次に京阪神圏を見ると、大阪が38兆円、兵庫県が20兆円と続く。世界的に見るとこの数字はかなり大きなもので、都市圏の生産額の世界ランキングで7位に入る。首都圏の経済力ががあまりにも大きいために、かすんでしまいがちだが、関西圏の経済力は相当なものである。首都圏に比べると、総生産額にして約半分程度かそれ以下であることが分かる。

※正確には都市圏で考えた方がよいが、データの都合上、県単位での近似することにした。

なぜこれまで差が開いたのか

それではなぜ首都圏と関西圏の経済力の差がここまで開いたのだろうか。その議論に入る前に、本当に首都圏と京阪神圏で差が開いたのかを表で確認してみよう。

上の表は1950年と2015年の首都圏と京阪神圏の人口を比較したものである。はじめに1950年の両都市圏の人口を見ると、首都圏で1306万人、京阪神圏で976万人であった。これに大阪や京都にほど近い和歌山県北や滋賀県南部を含めると京阪神圏でも1000万人を超えており、このときの経済規模の差はそれほどなかったことがわかる。

しかし、その後両都市圏の差は開き続け、2015年の国勢調査では首都圏で3613万人、京阪神圏で1835万人と約2倍の差が開いたのだ。もちろん人口だけでなく、総生産、一人当たりの所得でも大きな差がある。

これだけ両都市圏で経済格差が開いた要因として考えられるのはまず第一に制度的なことである。日本では中央集権制と呼ばれるように中央政府が強い権限を持っている。たとえば、事業を行う際には政府への認可が必要となることが多いが、そのとき政府への働きかけというのが非常に重要となる。そのため本社機能を東京に置くことが、ビジネスを行う上で大きなメリットとなるのだ。

制度的な要因で東京に本社機能が移ると、第二に規模の効果というのが現れる。経済学では集積の経済性などと呼ばれるものだ。大都市には多くの異種産業が存在し、打ち合わせやアウトソーシングなど産業間での連携がとりやすくなることが考えられる。特に東京圏では企業向けのサービスである情報サービス業、人材派遣業、広告業などが他の都市圏よりも発達している。

おわりに

今回は首都圏と京阪神圏でどれだけ経済規模の差があるのかをまとめて、簡単に原因を探ってみた。数字からも分かるように首都圏は京阪神圏の約2倍の経済力を持っていることが分かった。そしてこれだけ差が開いた要因は、決して東京が関西、とりわけ大阪よりも優れているからというわけではなく、先ほど紹介した制度的な事情により大阪の本社機能が東京に移転したことである。

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