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【京都芸大キャンパス移転】人口減少が続く崇仁地区に活気は生まれるのか  

明治13年、「京都の文化を磨き全国へ発信していく、そして明治維新で都の地位を失った京都の未来を切り開いていこう。」そんな決意のもと、京都市芸大の前身である京都府画学校が開設されました。

それから100年以上経った平成27年、現在西京区の洛西地区にキャンパスを構える京都市芸術大学が移転を発表しました。移転先は京都の玄関口として賑わいを見せる京都駅のすぐ東側です。

その場所は崇仁地区という地域で、いわゆる同和地区にあたります。

人口減少が続く崇仁地区

崇仁地区(すうじん)地区は身分制度でエタ・非人の身分に当たる人々が住んでいたいわゆる被差別部落地区です。近年は同和対策事業が進み、いかにも部落といった住宅はなくなり、市営住宅が立ち並んでいます。

現在、地区内の人口は減少しており、少子高齢化が進んでいます。

崇仁地区では、昭和35年の世帯数は約3,000 世帯(約10,000人) でしたが、現在は約1,200 世帯(約2,700 人)にまで激減してい ます

もちろんこれは、全国的に見れば珍しくなく、特に農村部を中心に見られる傾向です。しかし、京都駅から歩いてわずか数分という場所にありながら、これだけ人口が減少している原因は明らかにここが同和地区であることが原因です。

同和地区は被差別部落の地域を線引きした地域で、その地区では改良住宅、公共施設の建設といった同和地区への対策事業が行われてきました。同和利権などの問題ははらんでいますが、とりあえずは住環境の改善が達成されたことになります。

しかし行政によるいわば色付けが行われたことによって、むしろ差別を助長し、固定化したのではないかという意見もあります。

現在でも被差別部落地区に対する偏見は存在しており、就職や結婚などで差別されるというのはよく耳にする話です。そのため若い世代は他の地域へ移り住んでいき、新たに同和地区に入居する人もほとんどいないというのが現状です。実際に崇仁地区を訪れてみても、人通りは少なく明らかに活気がないのがわかります。

言い方は悪いですが、もはや居住地としての未来はないのかも知れません。

ターミナル駅からほど近い、せっかくの好立地。この地区を衰退させてしまっては崇仁地区はもちろん、京都にとっても大きなマイナスになります。居住地がダメならそれ以外の施設によって衰退を止めるしかありません。

そんな中、京都市は京都市立芸術大学の移転案を打ち出しました。これによって崇仁地区は生まれ変わることができるのでしょうか。まずは移転案の詳細についてみていきましょう。

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京都市芸大の移転案とは

京都市芸大の移転先は、崇仁地区の北西部(最も京都駅に近い地域)。下之町の西側にある老朽化した7棟の市営住宅を数年で解体し、38,000㎡の土地を確保する見通しが立っています。

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移転の理由

京都市が京都芸大の移転案を打ち出した理由は以下の通りです。以下の引用文は門川市長年頭記者会見(2014年1月6日
)からです。

一つ目は京都市立芸術大学の飛躍につながるということであります。

京都市芸大は老朽化が進んでおり、耐震問題などを抱えています。また、現在の洛西地区よりも京都の中心に近い崇仁地区にキャンパスを移転させた方が、他大学や産業、地域と連携しやすいとの思惑があるようです。

二つ目が京都全体のまちづくりの飛躍に貢献するということです。

もう一つの思惑は京都芸大の移転先である京都東地区の活性化です。さらに京都市と崇仁地区がともに進めている街づくりのコンセプト「創造・交流・賑いのまち」にも合致するということです。

崇仁地区のこれからの構想

これから崇仁地区はどう変わっていくのでしょうか。門川市長が強調しているのは他教育機関との連携です。ほかの芸術系の大学だけでなく、高校とも積極的に連携を図っていき、文化、芸術の交流を図っていく思惑があるようです。また地区内に、ギャラリーや音楽ホールなど文化施設を作る計画もあるようで、文化の拠点となることが期待されています。

おわりに~京都市芸大のキャンパス移転は崇仁地区の活性化につながるか~

明治時代に解放令が出て、身分制度は無くなりました。しかし就職、結婚などで未だに差別は生き続けています。色んな意味で京都の裏側というイメージがある崇仁地区ですが、今後、京都芸大のキャンパスが移転して雰囲気が大きく変わることが予想されます。

もしかしたら被差別部落地区であったという、社会の負の側面が内包されている地域だからこそ、むしろ芸術の発信の場としてはよいのかも知れません。芸術はマイナスの感情から生まれるなんてことも言われてますし。衰退が続く崇仁地区を芸術や文化の力で再生することができるのかとても楽しみです。キャンパス完成は2024年頃の予定です。

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