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北近畿屈指の遊郭跡・福知山の猪崎新地を訪れた

明智光秀が築いた福知山城やその城下町を中心に古くから栄えた福知山市。

近年は、但馬、丹後、丹波地域の総称、いわゆる三丹エリアを代表する都市として繁栄を見せた。最もここ半世紀ほどは、京阪神圏などの大都市圏へ人口が流出したことよって、やや衰退気味と言えるのだが・・・。

今回目指すのは福知山の市街地から由良川を渡った場所にある猪崎という地域である。そして猪崎にはかつての遊郭街、猪崎新地があるという。

さて、猪崎までのアクセスはというと、バスが無いこともないが、本数が少ないということで、今回は駅前の福知山観光案内所でレンタサイクルを借りることにした。

自転車で福知山の市街地を走り抜けていく。平日の日中ということで人通りはほとんどないが、それでもかなり大規模な街であることがわかる。

こちらは内記という場所にある新町商店街。新町という名前が嘘のようにレトロで古い。かつては賑わいを見せたことであろうが、現在は旧市街地よりも南側に通る国道9号線沿いに買い物客は集中している。

旧市街地→幹線道路沿いへと人の流れが移ることは、車社会の地方都市ではどこも見られる光景となっている。

狭い路地が続く福知山の市街地を抜けると、目の前がパッと広がった。ここが由良川である。由良川と言えば、大雨の際にたびたび氾濫する川として知られていて、これまで福知山市民を悩ませてきた。

福知山と言えば水害、花火大会の事故、脱線事故といった負のイメージがどうしても払拭されない。もちろん脱線事故に関しては尼崎で起こったことなので、福知山とは全く関係ないのだが・・

その由良川を渡ると猪崎の集落が見えてきた。猪崎には1500年代に塩見氏によって築かれた平山城・猪崎城の城郭がある。また、三段池公園もあり、福知山市立動物園はイノシシのウリ坊と、イノシシにまたがる猿のミワちゃんが有名だ。

さて、それではここから猪崎新地へと入っていこう。かなり古い遊郭跡なので判断が難しく、今回撮影したすべてが猪崎新地の跡ではないことを事前に断っておこう。

土手を降りて住宅街に入っていくと、あれ本当に遊郭跡なんてあるのだろうか、というようなわりと新しめの住宅地が存在する。

でもこんな感じの細い路地があるのは、かつての遊郭の姿を思い起こさせてくれる。

由良川の土手から中へ歩いていくと、古くからの住宅を見ることができる。

こちらは猪崎城址へ続く道。ここが猪崎新地のメインストリートだ。

上の画像は昔遊郭だった建物を改築したように見える。

そして、こちらは完全に遊郭跡。妓楼がしっかり当時の姿を留めているのはおそらく猪崎新地ではここだけだろう。

ゆるやかな坂を上って猪崎城址へ続くメインストリートを進んでいく。

左側の平坦な建物も、いかにもといった感じの構造をしている。ここが新地であったことを考えながら歩かなければ分からないが、本当に貴重な建物である。

猪崎城址へ続く山道の前にはカフェー調の建物がある。猪崎新地のカフェーはここだけだろう。

せっかくここまで来たので、猪崎城にも上ってみることにした。

途中、猪崎の街並み、そして由良川の向こう側に福知山の市街地を見ることができた。

猪崎城址は麓から山頂まで10分ほどあれば到着する。

山頂からはとてもきれいな景色を見ることができる。これで涼しければ、弁当広げてピクニック感覚だったのだが、9月というのにこの日は暑さが半端なかった。

暑い気候ではあるが、山を下ってもう少し歩いていこう。改めてメインの道を見ると、整然と建物が立ち並んでいるのがわかる。

こちらの建物なんかも明らかに遊郭だろうと思われる。3階建ての妓楼と思われる建造物は猪崎ではここだけであった。

メインストリートを中心に散策していくと、遊郭跡と思われる遺構がいくつか見られた。よく注意すると、けっこうな規模の遊郭街であったことが確認できる。

なんせ猪崎新地は最盛期には貸座敷約80件、娼͡妓は160人もいたという。最盛期は明治の終わり頃で、その後、昭和初期には50軒程度に減少し、戦後は他の遊郭街と同様に赤線へ移行。1958年の売春防止法の成立で遊郭としての役割は終えることになった。

猪崎新地が賑わいを見せていたのは、大日本帝国陸軍・歩兵第20連隊が福知山に移駐してきたことに関係すると言われている。もともと大阪にあった歩兵20連隊が福知山に移駐してきたのは明治31年のことなので、猪崎新地の成り立ちと照らし合わせても矛盾がない。

しかし、古くからの地方の住宅街を撮影するのは少し気が引けるというか、人の目がとても気になる。家の中から見られているのでは?不審者と思われているのでは?と心配になる。まあ傍から見れば不審者そのものなんですがね・・

蔓に覆われたあの建物も遊郭の遺構なのだろうか、、あそこまでいくと遺構というか廃屋といった感じだ。

さて、この辺で猪崎新地の散策を終えよう。見た目のインパクトはそれほどないが、住宅街として利用されていることから、落ち着いた印象を受けた。

福知山の市街地とは川で隔てられていることから、遊郭がカフェーや旅館とはならず住宅として再利用されているところも面白い。

福知山観光のついでに寄ってみるのをお勧めします。

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