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マキノの天井川・百瀬川と百瀬川隧道

滋賀県高島市のマキノには、すっかり名物となったメタセコイア並木から程近い場所に百瀬川という天井川があります。

百瀬川の上流は扇状地と呼ばれる形をしており、上流の谷から運ばれて来る土砂が堆積して、やがて川底が周辺の平地よりも高くなりました。

また、かつて百瀬川は黒川と呼ばれており、たびたび氾濫を起こす「暴れん坊黒川」と呼ばれていました。そのため、しっかりとした堤防を築く必要がありました。以前は百瀬川に橋が架けられていましたが、堤防の坂を上り下りするのが大変だったと言います。

百瀬川の川底があまりにも高くなってしまったので、いっそのこと川の下にトンネルを掘ってしまった方が早いという結論に至り、大正14年に百瀬川隧道が完成しました。

こうして百瀬川は天井川となったのです。

百瀬川隧道へ

百瀬川隧道があるのは、今津とマキノをつなぐ県道287号線。南側から行くと、湖西バイパスを通り抜けたところに自動車用と歩行者用の2つのトンネルが見えてきます。

自動車用トンネル・・・大正14年完成

歩行者用・・・歩行者が安全に通れるようにと昭和48年に完成

レンタサイクルで来たので、今回は歩行者用のトンネルに入ってみます。昼間ですが、電灯が無いといけないくらい薄暗くなっています。

なぜか簀の子が置いてあるのですが、雨が降ったとき水溜まりができるからでしょうか?

高さは大人が少しかがまないと頭をぶつけてしまうほどです。

トンネルの上に続く道があったので、百瀬川を見に堤防の上に行ってみます。かつて氾濫を繰り返していたという川ですが、今は雑草で生い茂っており、当時の面影はありません。

少し下流に行くと、百瀬川と生来川の合流地点があります。

・右側を流れる川が生来川

・赤〇が百瀬川

百瀬川が合流するポイントは階段状になっており、土砂が流出するのを防止しています。

しかし、百瀬川側から水が流れている様子は確認できませんでした。

百瀬川側から水が流れていない理由は、航空写真を確認したら解りました。もともとの百瀬川の途中から生来川に新たな流路が付けられていたらです。

ですので、新たな流路より下流に当たる百瀬川隧道の部分は完全に「かれ川」となっていたのです。

百瀬川や百瀬川隧道について調べてみると、治水の努力が感じられます。

ちなみに滋賀県には天井川が多いのですが、この理由は以下のおとりです。

滋賀県に天井川が多い理由として、琵琶湖を囲む山々田上山周辺)が花崗岩岩石でできていたことに加え[4]、1000年以上も前から平城京の造営や寺社建立のため森林伐採され、その後も生活の燃料となる採取のため伐採が続いて自然破壊が進み、江戸時代には全国的に知られる禿山となった

滋賀県の天井川

  • 姉川 – 長浜市付近8.1km
  • 高時川 – 長浜市付近6.2km
  • 草津川 – 草津市。下流部は新河道開削により廃川国道1号の天井川トンネルは撤去されたが、琵琶湖線中山道の天井川トンネルが廃川部に現存。本流上流や支流の金勝川には天井川が残る。
  • 狼川 – 滋賀県草津市、草津川同様に鉄道の天井川トンネルが存在した。現在は遺構のみ残る。
  • 百瀬川 – 高島市マキノ町沢付近
  • 野洲川 – 守山市内にある現河口は新たに開削されたもので、この付け替えで下流の天井川は廃川になった。支流の大沙川では1884年に竣工した県内初の道路トンネルが東海道を通し、草津線もトンネルで大沙川をくぐっている。
  • 家棟川

百瀬川隧道成立の文献⇒http://www.city.takashima.lg.jp/www/contents/1361352956357/files/32.pdf

●百瀬川の河口付近

 

 

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