広告[ad#ads1]
人は死んだら一体何処へ行くのだろうか。多くの宗教では死後の世界を認めており、例えば仏教では「輪廻転生」が唱えられている。人は生まれたり死んだりを繰り返しながら、この世とあの世を行き来するとされている。
そして京都にあの世とこの世をつなぐ橋があるという。名を一条戻橋といい、堀川にかけられている一条通りの橋である。一条通りは平安京の北端にあたる場所である。
この日は堀川の横の小道を歩いて現地へ向かった。9月に入り秋の風が吹くが、やはり蒸し暑さは残っていた。堀川沿いはちょっとした森のようになっていて散歩するにはうってつけの場所である。
魚もいるようで階段状の場所は魚が川を上れるように木製の通り道がしてあった。
少しあるくと堀川の上にかかる一条戻橋が見えてきた。この橋は平安京造営のときに堀川を渡る橋として造られ、その後何回も立て直しされているが、場所は今も当時と変わらないらしい。
橋の欄干には戻橋、一條と大きく書かれている。一条通り交通量はあまり多くなく、たまに車、自転車、歩行者が通るくらいである。一方で、一条通りと交差する堀川通りは車線が多く車の通りも多い。
それではこの橋にまつわる伝説を紹介しよう。
平安時代中期、三善清行という公卿、漢学者がいた。その八男に浄蔵という天台宗の僧侶がいた。918年12月、清行が危篤に陥った。その知らせは紀州の熊野で修行していた浄蔵のもとへ届いた。急いで浄蔵は京へ戻ったが、ちょうどそのとき父清行の棺が一条戻橋の上を通過していた。そう、清行はすでに亡くなっていたのである。
そして浄蔵が棺桶が橋を通過しているのを見たとき、一時的に清行は生き返り父子で言葉を交わしたというのである。その後、この橋は死者があの世からこの世へ戻ってくるという意味で「戻橋」と呼ばれるようになったそうだ。
そのような伝説があることからパワースポットとしても知られている。橋は新しく1995年に今の橋に架け替えられたという。
この下を流れる堀川は戦後、浸水対策の下水道整備によって水源が絶たれ、水が流れていなかったそうである。しかし2009年の工事によって堀川に水の流れが戻ってきたという。
それにしてもなかなか綺麗なところであった。堀川通り沿いは京都にしては珍しく、やや高層のマンションが立ち並んでいる。そのため街中のオアシスとして市民に愛されているようである。
また橋のすぐ近くには安倍晴明が祭ってある清明神社もある。晴明神社はパワースポットとして人気である。そういう意味ではこの辺の土地は何か良い「気」が漂っているのかもしれない。ここを含め京都は空気が澄んでいるというか、妙に清々しい「気」のようなものが流れていると感じるのは私だけだろうか。京都は平安時代から風水によって街が治められてきた経緯があり、何かそれが関係しているのかもしれない。
平安京の外と内の境界線にある一条戻橋、そしてこの世とあの世の境界にある一条戻橋、みなさんも一条戻橋に流れる気を感じに訪れてみてはいかがだろうか。
[ad#ads1]