日本庭園に使用される苔。とりわけ神社仏閣が多く存在する京都においては、庭で苔の使用シーンが多く、多くの人を魅了してきました。京都にはいくつか苔の名所がありますが、今回はそのうちのひとつ、祇王寺というお寺を訪れました。
祇王寺とは
祇王寺は竹林と楓に囲まれたつつましやかな草庵で、『平家物語』にも登場し、平清盛の寵愛を受けた白拍子の祇王が清盛の心変わりにより都を追われるように去り、母と妹とともに出家、入寺した悲恋の尼寺として知られております。
祇王寺は昔の往生院の境内にあり、往生院は法然上人の門弟良鎮によって創建されたと伝わっています。山上山下にわたって広い寺域を占めていた往生院も後年は荒廃し、ささやかな尼寺として残り、後に祇王寺と呼ばれるようになりました。
祇王寺ホームページより引用
祇王寺の場所
祇王寺があるのは京都市右京区嵯峨鳥居本。観光客で賑わいを見せる嵐山から徒歩で20分ほど歩いた場所にあります。
嵯峨嵐山駅を下車した後、竹林を抜けて祇王寺まで歩いていきます。途中、常寂光寺の外庭の杉苔などを観察しながら少しづつ足を進めていきます。それにしても嵯峨嵐山界隈は見どころ多いですね。
日差しの暑さを感じながら20分ほど歩いていくと、祇王寺と書かれた看板を発見。
新緑が生い茂る中、お寺のある方へ向かっていきます。
背の低い竹柵の向こう側には緑が美しい苔が見られました。
祇王寺へと入って行きましょう。祇王寺の拝観料は300円。とても手軽に苔の観察を行うことができます。
庭園に存在する苔は数多く、スナゴケ、ギンゴケ、シノブゴケ、ハイゴケ、タマゴケ、ギンゴケ、スギゴケなどが見られます。それらの苔が庭園内で独自の生態系を築き上げているのが見どころです。
庭園内は数分もあれば回れるほどこじんまりとしたものですが、苔の観察に夢中になってしまい、今回は祇王寺で1時間近く滞在してしまいました。
日本庭園でアクセントになるのはやはりスギゴケ。数センチまで成長するので、立体感を作りだしています。
庭園内には茅葺の門がありました。これがまた苔ととてもよいマッチングを見せています。
次に間近で苔を見てみようと思い、しゃがみ込んで写真撮影をしました。
こちらはスギゴケ。絶妙な緑と星状の茎がお見事。
そしてヒノキゴケ。髪の毛のように流れがあるのが特徴的。
庭園内には鉢に植えられた祇王寺の苔が飾られていました。
こちらは蹲(つくばい)。ここから水路が続いており、苔の成長に適した湿度を作り上げます。
杉苔の群生は大海に浮かぶ島のように見えます。枯山水と同じ発想で、苔でも水と陸を表すことができるとは新発見でした。
シダ植物も見られ、苔とよくマッチングしています。
コケとコケの境界線が美しい。
一時間ほどみごとな苔を堪能したところで、祇王寺を出ることにしました。
祇王寺はこじんまりとしていて、とても落ち着く場所です。苔好きの人はもちろん、そうでない方も心を休ませに一度訪れてみてはいかがでしょうか。
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