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【東福寺で苔観察】ウマスギゴケが見事な方丈庭園

以前、図書館で見た小市松模様の庭園を思い出しました。その庭園があるのは京都の東福寺。方丈庭園に敷き詰められている切石と立体感のあるスギゴケがとても印象的です。

京都駅から奈良線に乗ること一駅、東福寺駅に到着です。

東福寺へのアクセス

JR奈良線東福寺駅から徒歩15分

京阪本線東福寺駅から徒歩15分

京阪本線鳥羽街道駅から徒歩15分

東福寺駅から歩くこと15分ほど、臥雲橋から見えたのは東福寺境内の通天橋。

東福寺境内に入って方丈庭園を目指します。方丈とは禅宗寺院で住職が生活する建物で、方丈庭園とはそれに付随する庭園のことを意味します。

明治23年(1890年)の再建。正面前庭にある唐門は明治42年(1909年)に造営され、昭憲皇太后より下賜されたものである。庭園は近代の造園家、重森三玲によって昭和13年(1938年)に作庭され、方丈を囲んで四方に配される。釈迦成道を表現し、八相の庭と命名されている。鎌倉期庭園の質実剛健な風格を基本とし、これに近代芸術の抽象的構成をとり入れた枯山水庭園である。
南庭 – 荒海の砂紋の中に蓬莱、方丈、瀛洲、壺梁の四仙島を表現した配石で、右方には五山が築山として表現されている。
北庭 – 南の恩賜門内にあった敷石を利用し、石と苔を幾何学的な市松模様に配している。
西庭 – さつきの刈込みと砂地が大きく市松模様に入り、くず石を方形に組んで井田を意図している。
東庭 – 東司の柱石の余材を利用して北斗七星を構成し、雲文様の地割に配している。

東福寺の方丈庭園は方丈を取り囲むように、東西南北にそれぞれ庭があり、枯山水、手法(蓬萊神仙思想の表現)、意匠(市松模様)などの様式が用いられています。

そして東西南北の庭で欠かすことのできないのが苔の存在。東福寺ではウマスギゴケという種類の苔が庭園で美しさを見せています。

東庭

拝観料を支払い廊下を進むと、右手に見えるのが東庭です。東庭で特徴的なのは円柱の石。建物の柱に隠れてしまっていますが、石は全部で7種類あり、北斗七星を形成しているのを確認できました。

小宇宙が描かれているかのような壮大な景色が広がっています。ここ東福寺の庭園は昭和の作庭家である重森三玲が手がけた名庭。釈迦の生涯を表す「八相成道」に因んで「八相の庭」と呼ばれています。

静かな空気が流れており、とても心が落ち着く空間。

南庭

東庭の反対に見えるのが枯山水の美しい南庭と大方丈の大きな建物。すでに多くの人々が庭園前に座って静かなひと時を過ごしていました。

広さ210坪という大きな庭には巨石が配置されています。これは古来中国の蓬莱神仙思想で大海の彼方に仙人が住む四仙島が表現されたものだそうです。

そして砂紋が八海を表しています。そして京の五山に見立てられた山には一面にウマスギゴケが貼られていました。

やや乾燥気味のようなで、色が茶色くなっている箇所が目立っていました。グラデーションのようになっていて、これはこれで味があると言えるでしょう。

西庭

方丈を時計回りに進んでいくと西庭が見えてきます。ここ西庭と北庭には市松模様が採用されています。

西庭では刈り込まれたさつきを葛石によって砂地と区切られ、石松模様が表現されているのが確認できます。

苔の緑と、ピンク色のさつきの花がとても綺麗。作庭家・重森三玲の斬新なアイデアを見ることができます。

北庭

さらに時計回りに進むと今度は北庭に出ます。

北庭でもウマスギゴケと敷石によって市松模様が表現されています。さらにサツキの植え込みもあり、見事な調和を見せています。さらに背後の新緑もとても美しい。

通天橋側の借景も手伝って、木々の鮮やかさを感じることができるようになっています。そうそう、ここが昔図書館で見た市松模様で、記憶が蘇ってきました。

敷石によって苔の立体感を引き立ててくれています。モフモフとした苔の中に、胞子を作る朔も発見です。

東福寺で発見した苔

方丈庭園以外にも、東福寺には苔の観察スポットがあります。こちらは日下門をくぐったところにあるお手洗い前。

また、境内の外にはコケではありませんが、臥雲橋近くにシダ植物を観察することもできました。

境内の溝にはたくさん繁殖したゼニゴケが見つかりました。

こちらは三門近くの庭。樹木によってウマスギゴケの生育に良い環境が作られています。

こちらは東福寺本堂(仏殿)脇。こちらも鮮やかな色をしたウマスギゴケの姿がありました。

東福寺では多くの苔を発見することができました。境内外を問わずに多くの蘚苔類、さらにはシダ植物の観察も楽しめます。

今回は作庭家・重森三玲の方丈庭園を眺めながら苔を観察するという贅沢な体験ができてとても満足しています。秋には通天橋にも行ってみたいと思います。

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