今回向かったのは延暦寺の門前町として栄えた坂本。
歴史的に名高い寺院や神社、里坊や宿坊が多くあります。また、穴太積みで知られる石垣が建物の敷地を囲んでいて、コケやシダにとっては絶好の住処となっています。
坂本駅~日吉大社までの道
JRの比叡山坂本駅、京阪の坂本比叡山口から日吉大社方向へ向かうメインストリートとも言える側道には水路があり、苔が生息しやすい湿度が保たれています。
タマゴケがとても綺麗。もうすぐ3月。かわいい玉模様の胞子も出ていました。
水路と石垣と苔、さらにはシダ植物もあり、とても調和が取れています。
歩道を登って日吉大社方面へ向かいます。
日吉大社~ケーブル坂本駅
日吉大社は全国2000か所にある日枝、日吉、山王神社の総本社です。坂本地区では最も有名な観光スポットと言えるでしょう。
大きな木の幹にはギンゴケがぎっしりとコロニーを形成しています。
神社の横からは延暦寺がある比叡山への登山口があります。少し登ってみることにしました。
樹の幹に張り付く苔やシダ類も数多く生息しています。
途中で延暦寺へ続く登山コースを左に曲がって降りていきます。
岩肌にはシダ植物が多数生息していて、生命力の高さを確認することができました。
下に降りていくとケーブルカーが止まっていました。これが坂本ケーブルです。比叡山の山頂にある延暦寺付近まで約2㎞をつなぐ日本で最長のケーブルカーです。
延暦寺まで続く坂本ケーブルは、この日点検だったようです。
ここがケーブルのりば。1997年に国の登録有形文化財に登録されたことでも知られます。桜のシーズンや紅葉のシーズンとなると、多くの観光客で賑わいます。
のりばの下には小川が流れていて、シダがたくさん繁殖していました。木漏れ日が差し込んでおり、シダや苔にとって最適な空間が作り出されています。
さらに周辺を歩いていると面白いものを発見。コンクリート塀に張り付いた苔に落書きがされています。ある意味アート?と言えるでしょう。
近くに高校があるので、生徒さんが遊んだのかも知れません。
この下の画像が延暦寺学園比叡山高校の校門です。ただいま工事中ということで、校舎を改築していました。
続いて向かったのは日吉東照宮です。
日吉東照宮~滋賀院門
日吉大社の本部からは500mほど離れており、こちらは無料で参拝することができます。
階段の傾斜に圧倒されながらも、東照宮まで登っていきます。
境内からは下に続く参道、住宅街、琵琶湖を一望することができ、ひと息入れながら見る景色は感動ものです。
再び森の方へ入っていきます。森からは日吉東照宮の本殿を確認することができました。
日吉東照宮はもともと延暦寺の末寺だったのですが、神仏分離令によって日吉大社の末社となりました。言われてみれば、神社とも寺院ともとれる外観をしています。
森にはシダが見られ、葉っぱの裏には胞子嚢がたくさん蓄えられていました。
再び森から下に向かって降りていきます。
今度は滋賀院門の横を流れる小川を下っていきます。
ここにもタマゴケの黄緑色を発見、とても癒されます。
滋賀院門の庭には梅が咲いていて、その下には庭園には欠かせない杉苔が広がっていました。
寺院が密集する地区では、道路の舗装も石畳で景観が守られています。
石垣の上にはハイゴケが見られ、立派なコロニーを形成していています。歴史ゆかしい坂本の景観として一役を担っています。
それにしても石積と苔、見事に合います。
以上が坂本での苔とシダの観察日記でした。寺院や神社、さらには森との相性が抜群の植物であると再認識することができました。
どちらも花を咲かせない隠花植物ですが、日本の風景には欠かせない植物であることは間違いないでしょう。
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