大阪で唯一の新幹線が乗り入れる駅、新大阪。もし新幹線が開業した1964年に、今や関西のビジネス・商業の中心地となった梅田に新幹線が乗り入れていれば、大阪の経済停滞はこれほど深刻なものになっていなかったかも知れない。個人的には今からでも新幹線を梅田に乗り入れさせればと思うのだが、これは実現しそうもない。
新大阪の街自体の利便性はとても高い。総合病院や行政機関など生活に必要な機関が集まっているエリアであるし、梅田やなんば、天王寺といった大阪の都心エリアにもダイレクトにアクセス可能である。さらに2018年にはおおさか東線が開業し、リニア中央新幹線も新大阪に乗り入れるとあって将来性が高い街である。そして2017年、居住地とし穴場だと思うランキングで4位に入った。住宅地としてのイメージが湧かない中でのランクインとだけあって、そのポテンシャルは確実なものだと想像できる。
ただ、ビジネス街や大阪の玄関口として新大阪駅を見た時、今一つパッとしないと感じるのは私だけではないはずで、首都圏の新幹線停車駅である東京駅や品川駅はもちろん、新横浜駅よりもその華やかさでは劣ってしまうのではないだろうか。
この原因として考えられるのは、街が分断されているからかもしれない。上の地図を見てもらうと分かるように、東西に新幹線が南北にJR京都線(右)、地下鉄御堂筋線(左)が通っている。6つの街に分かれてしまっており、今一つ行き来しづらいのである。さらに高架下や地下通路があるせいで、街全体の一体感に欠けてしまっているのかも知れない。
今回は新大阪駅周辺の街並みを紹介するため、地図上に印をつけた番号うち、①⇒②⇒⑤の順に歩いてみた。
まずはじめに向かったのは駅の北東側。地図の番号で①の地域にあたる。こちらは人通りも少なく、殺風景な街並みが印象的であった。
新幹線とJR京都線がクロスしている場所にはロータリーがある。しかし、ホントにここが新幹線の駅ロータリーなのか・・といった感じのローカルっぷりである。雑草も生えっぱなしでどこかの田舎の駅と勘違いしてしまいそうだ。
駅の北東側で目立ったのは大きな駐輪場。確かに新大阪周辺は自転車が多い印象を受ける。大阪では庶民的な住宅街とビジネス街が近接しており、新大阪という大阪の副都心的な役割を果たす街でもその辺のオジサンがチャリでウロウロしている光景が見られるのである。
次にJR京都線の地下道を通っていく。地図上で見ると①⇒②である。JRオレンジ色の地下道は人通りも車の通りも少なかった。
地下道を抜けると、さすがにこちらは都会といった感じのオフィスが建ち並んでいる。しかし、伊丹空港が近くにあるため、超高層ビルは建てられず、最も高い建物でも100mほどの高さに制限されている。
今度は新幹線の高架下を通り、メインのロータリーへ出てきた。地図の番号でいうと⑤のエリアである。
実は新幹線、JR京都線、地下鉄御堂筋線以外にも、もうひとつ路線がある。それはJR京都線からJR西日本の車両車庫へつながる線路である。ロータリーから南へ抜けるには、この高架下を通らなければならない。
高架下を通ると、オフィス用のビルやビジネスホテルが多いエリアにやってきた。平日の昼下がりとあって、歩いているサラリーマンの姿が多く見られた。
ビルはけっこう密集しており、それなりに地価が高いことがわかる。一応説明しておくと、建物の密集度と地価は大きな関係があり、地価が高いと節約しようとして土地利用分を抑制しようとするため、土地いっぱいに建物をたて、高層化するという現象が起きる。
ちなみに2016年の地価は新大阪で1㎡あたり75万円。新大阪と同水準の地域では、京都駅で65万円、新横浜駅で80万円となっている。ただ、名古屋駅の250万や品川駅の265万円に比べるとかなり落ちる。ターミナル駅に乗り入れてないので仕方ないとも言える。
再び街並みに目を向けると、駅の南の方では飲食店なんかも充実していて、生活は便利そうである。ちなみにここら辺のエリア(⑤と⑥)の住所は西中島という。ホテルやオフィスでは新大阪と表記されることが多いが、コンビニなど日常生活で利用されるお店のほとんどは西中島という地名が使用されている。
おわりに
だいたい、新大阪駅のことを分かっていただけたでしょうか。この記事はここらへんで終わりにしようと思います。次に向かうのは⑥のエリア。実は大阪のダークな面を抱えるエリアでもあるんです。再びJR京都線の高架下を通って歩を進めていきます・・。next⇒http://e-kansai.net/2017/06/15/asukakai/
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