滋賀県大津市のJR石山駅から、瀬田川沿いにバスに揺られ、15分程度乗車すると瀬田川洗堰が見えてきます。
かつては明治時代に造られた南郷洗堰として機能していましたが、現在は南郷洗堰の数メートル下流に瀬田川洗堰が堰(可動堰)として機能しています。
古来、瀬田川では川底が浅いことや、大日山が突き出していることなどから、洪水が多発していました。そこで、1900年に大日山を爆破したり、川底を掘り下げたり、川幅を広げたりする治水工事が行われました。
今でも大日山は瀬田川東岸に見られます(写真左奥)。
1902年には、南郷洗堰が完成しました。現在の瀬田川洗堰は1961年に完成し、1992年にはバイパス水路も完成しています。
バイパス水路からは、かなり多くの水が流れ出ていることが確認できました。
近くからも見られるぞ!迫力満点だ
瀬田川洗堰周辺には、アクア琵琶という治水に関する展示館があるので、寄ってみてもよいでしょう。
また、南郷水産センターという魚のテーマパークもあり、家族に人気の施設となっています。
琵琶湖の水止めたろかとは?
瀬田川洗堰に関して話題となるのは、「琵琶湖の水止めたろか」という言葉です。これは、京都や人や大阪人から馬鹿にされたときに、対抗心を表わすために使うジョークです。
今はジョークや洒落であるものの、歴史的に見れば琵琶湖から淀川までの治水や水利を巡って、滋賀vs京都・大阪のバトルが勃発していました。
雨量が少ないときに起こる対立
滋賀県⇒水源確保のために湖水の放水を最小限に留めたいと思う
大阪・京都⇒水不足解消のため、多くの放水を行ってほしいと思う
雨量が多いときに起こる対立
滋賀県⇒琵琶湖流域の洪水を避けるため多くの放水を望む
京都・大阪⇒川の増水による氾濫を恐れて放水を望まない
雨量が多いときは京都・大阪が琵琶湖の水止めろと言ってたんだね
琵琶湖の水を止められるのは?
琵琶湖から流れ出る河川は以下の2通りです。水を止めようと思えば、両方の水路をふさぐ必要があります。
これらの管轄は以下の通りです。
①瀬田川⇒国土交通省近畿地方整備局琵琶湖河川事務所
②琵琶湖疎水⇒京都市
瀬田川に関しては、今回紹介した瀬田川洗堰でせき止めることになりますが、権限は国土国交省、つまり「国」です。琵琶湖疎水に至っては対立相手の京都市が管理しています。このように、滋賀県は水量調整の権限が一切ありません。
また、そもそも本気で琵琶湖の水なんて止めたら、水があふれ出して、滋賀県は水没してしまいます。滋賀県が困ることはもちろん、雨が多い時を除いて京都・大阪も困ってしまいます。
近畿地方全体が非常事態となってしまうぞ
歴史的な対立もあったためか、「琵琶湖の水止めたろか」は多くの関西人に愛されており、今後もジョークとして使われることでしょう。
コメント